概要
序品で文殊様が「これから仏教を一つにするための大本の教えが説かれるだろうから、期待して待っていよう」と弥勒菩薩様をはじめとしたたくさんのお弟子様方にいいました。
これを受けて方便品ははじまります。
お釈迦様が瞑想を解かれて、弟子の中で智慧第一と評される舎利弗さまに向かって話しだします。
仏たちの悟ったところは、仏同士でなければわからないと。
そしてこの分からない悟りを人々に分からせたいがために、方便という手段をとったのだと告白します。
方便というのは、人々の能力・欲などの違いを理解して、その人その人の成長を促すようために必要な教えを説いていくことです。仏様はこのような方便を使い、それぞれの人が望むものを手にできるようにと教えを説きつつ、若干の仏の真実の考えを含ませていたというのです。このような教えを方便の教えといい、法華経が説かれるまではこの教えで人々を導いてきたのだとおっしゃいました。
そして今、方便の教えを以て導いた弟子たちは立派になった。もう方便の教えの中に若干含ませていた仏の真実の考えをそのまま説いても大丈夫だろうと。
仏様の教えは一仏乗(妙法蓮華)の教えだけだといいます。方便の教えの中に若干含ませておいた教えこそ真実だとおっしゃったのです。
また菩薩と呼ばれる人にのみこの教えを説くのだとも言いました。
過去の仏様、未来の仏様、どこの世界の仏様もみな同じように教えは法華経、そしてこの教えを学ぶものは菩薩なのだとも。
だからこの教えを修学すれば、だれでも仏と同じようになれる。大いに期待して、この教えを信じるようにと励まして終わります。