化城喩品第七

書き下し文

仏、諸(もろもろ)の比丘(びく)に告(つ)げたまわく、

乃往(ないおう)過去無量無辺不可思議阿僧祇劫(かこむりょうむへんふかしぎあそぎこう)、爾(そ)の時に仏いましき。大通智勝如来(だいつうちしょうにょらい)・応供(おうぐ)・正徧知(しょうへんち)・明行足(みょうぎょうそく)・善逝(ぜんぜい)・世間解(せけんげ)・無上士(むじょうじ)・調御丈夫(じょうごじょうぶ)・天人師(てんにんし)・仏(ぶつ)・世尊(せそん)と名(なづ)く。其(そ)の国を好成(こうじょう)と名け、劫(こう)を大相(だいそう)と名く。

諸の比丘、彼の仏の滅度より已来(このかた)、甚(はなは)だ大(おおい)に久遠(くおん)なり。

譬(たと)えば、三千大千世界(さんぜんだいせんせかい)の所有(しょう)の地種(じしゅ)を、仮使(たとえ)人あって磨(す)り以(もっ)て墨と為(な)し、東方(とうぼう)千の国土を過ぎて乃(すなわ)ち一点を下(くだ)さん。大(おおき)さ微塵(みじんn)の如(ごと)し。又、千の国土を過ぎて復(また)一点を下さん。是(かく)の如く展転(てんでん)して地種の墨を尽(つ)くさんが如き、汝等(なんだち)が意(こころ)に於(おい)て云何(いかん)。是(こ)の諸の国土を若(も)しは算師(さんし)若しは算師の弟子、能(よ)く辺際(へんざい)を得(え)て其の数を知らんや不や。