法師品第十

書き下し文

爾の時に世尊、薬王菩薩(やくおうぼさつ)に因(よ)せて八万の大士(だいじ)に告(つ)げたまわく、

薬王、汝、是の大衆の中の無量の諸天(しょてん)・龍王(りゅうおう)・夜叉(やしゃ)・乾闥婆(けんだつば)・阿修羅(あしゅら)・迦楼羅(かるら)・緊那羅(きんなら)・摩睺羅伽(まごらが)・人と非人(ひにん)と及(およ)び比丘(びく)・比丘尼(びくに)・優婆塞(うばそく)・優婆夷(うばい)の声聞(しょうもん)を求むる者・辟支仏(ひゃくしぶつ)を求むる者・仏道を求むる者を見るや。

是(かく)の如(ごと)き等の類(たぐい)、咸(ことごと)く仏前に於て妙法華経の一偈一句(いちげいっく)を聞いて、乃至(ないし)一念も隨喜(ずいき)せん者には、我、皆(みな)記(き)を与(あた)え授(さず)く。当(まさ)に阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼだい)を得(う)べし。

仏、薬王に告げたまわく、又、如来の滅度の後に若(も)し人あって妙法華経の乃至一偈・一句を聞いて一念も隨喜せん者には、我、亦(また)阿耨多羅三藐三菩提の記を与え授く。