観音様という菩薩様がいらっしゃいます。正式には、観世音菩薩様と言います。
名は体を表す、といいます。観音様のお名前も特徴を表したものです。
世の中で発せられる音を観ずる、こういう意味だと私は考えています。
世の中で発せられる音とありますが、これは時流や流行に乗ることだけではないと思っています。個人的に、自分が直接向かい合ったもの・人の言葉・思いを自分の基準で評価することなく、相手の想い・言葉の通りきちんと聞き入れるといったことだと思うのです。
最近は傾聴というものがいわれていますが、似たようなものかもしれません。
観音様は、施無畏者と呼ばれます。恐れをなくしてくださる方だというのです。施無畏とは無畏(畏れない状態)を施すということ。人の話をよく聞き、受け入れられるならば、恐れることはないのだという訳です。この教えを観音様がご自分のお名前で伝えてくださっているのです。
何かに恐れを懐くのは、その何かに対する理解不足が原因なことが多々あると思います。だからまず話を聞くのがいい。こう観音様は教えてくださるのです。
…ただ、言うは易く行うは難し。なかなかできることではないです…。だからこそもし何か機会があって、精神修養(修行)するときがあったら、その際の目標として、観世音菩薩様のお名前の意味を思い出すことが出来たらいいなと私は思うのです。