二元論

宗教は、二元論になりがちです。

天国、地獄など相反するものを立て、お互いが勢力を争っていると考えるものです。

私が注目するのは、この世とあの世という二元論。

この二元論を良しとするならば、この世(私たちが実際に生きている世界)はあの世(死後の世界)に劣るものとなります。

なぜならば、死後の世界は救いが実現している世界として描かれているから。

そして、この世という苦しい世界で、信仰をもって真面目に生きたならば、死後に救われるのだと導くことになります。

この世は大変な世界であり、苦しく、楽しいことがあまりない所となります。

でも…果たしてそうでしょうか?

この世には、私たちが生きるすべてが整っています。食べ物の飲み物も、空気も、足を踏みしめる大地も、なんだってあります。

苦しいことも多々経験しますが、楽しいこと、感動することを経験するのもこの世です。…あの世ではもっと素晴らしい経験だけするのかもしれませんが…、今現在の私ではわかりません…。

誰でも等しく平等に生きられます。

悪いことをしたからと、この世が罰することはありません。大地が裂けて悪人を落とすとか、空気を吸わせなくするとか、こんな超常現象は決して起こりません。

この世とは、このような世界です。…本当に悪い世界なのでしょうか???あの世に劣るのでしょうか?

この世が悪いとするならば、要は使い方なのでしょう。利用の仕方なのではないでしょうか?

例えるならば、奇麗な新築も、汚く使えば、あっという間にゴミ屋敷です。家が汚いのではなく、使い方が悪いのです。

日本の仏教は、基本的にこの二元論を説きません。この世は仏様の世であり、私たちはその弟子だとします。

だからこの世をよく使うことを説いていきます。日本仏教の中で、あの世で救われるとするのは、お念仏だけと私は理解しています。

現実を見れば、この二元論。分からないでもないのです。うまくいかないことばかりの世の中ですから…。立派な人はあまり見つかりませんから…。

それでも私は、二元論の救いより、この世をより良く利用するという教えに価値を見出していきたいのです。

あくまで信仰の問題なのですが…。

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