珠を与えし親友、後に此の貧人を見て苦切(くせつ)に之を責め已って示すに繋(か)けし所の珠を以てす。
貧人、此の珠を見て、其の心、大に歓喜し富んで諸の財物あって五欲に而も自ら恣ならんが如し。
我等も亦是の如し。世尊、長夜に於て常に愍(あわれ)んで教化せられ、無上の願を種えしめたまえり。我等、無智なるが故に覚らず亦知らず。少しき涅槃の分を得て自ら足りぬとして余を求めず。 今、仏、我を覚悟して実の滅度に非ず。仏の無上慧を得て爾(しか)して乃ち為れ真の滅なりと言う。我、今、仏に従って授記・荘厳の事及び転次に受決(じゅけつ)せんことを聞きたてまつりて、身心(しんじん)徧(あまね)く歓喜す。