信解品第四

我等、諸の仏子等の為に菩薩の法を説いて、以て仏道を求めしむと雖も、而も是の法に於て 永く願楽(がんぎょう)なかりき。導師、捨てられたることは我が心を観じたもうが故に、初め勤進して実の利ありと説きたまわず。富める長者の子の志(こころざし)劣なるを知って、方便力を以て其の心を柔伏(にゅうぶく)して、然して後に乃し一切の財宝を付するが如く、仏も亦是の如し。希有の事を現じたもう。

小を楽う者なりと知しめして、方便力を以て其の心を調伏(じょうぶく)して、乃し大智を教えたもう。我等、今日、未曽有なることを得たり。先の所望に非(あらざ)るを而も今、自ずから得ること、彼の窮子の無量の宝を得るが如し。

世尊、我今(われいま)道を得(え)、果を得、無漏の法に於て清浄の眼(まなこ)を得たり。我等、長夜に仏の浄戒(じょうかい)を持(たも)って始めて今日に於て其の果報を得たり。法王の法の中に久しく梵行を修して、今、無漏・無上の大果を得(え)たり。

我等、今者(いま)真に是れ声聞なり。仏道の声を以て一切をして聞かしむべし。我等、今者(いま)真に阿羅漢なり。諸の世間・天・人・魔・梵に於て、普く其の中に於て供養を受くべし。