爾の時に羅睺羅(らごら)の母・耶輸陀羅比丘尼(やしゅだらびくに)、是の念を作さく、世尊、授記の中に於て独(ひとり)我が名を説きたまわず。
仏、耶輸陀羅に告げたまわく、汝、来世百千万億の諸仏の法の中に於て、菩薩の行を修し大法師と為り、漸(ようや)く仏道を具して、善国(ぜんこく)の中に於て当に作仏することを得べし。具足千万光相(ぐそくせんまんこうそう)如来・応供・正徧知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御丈夫・天人師・仏・世尊と号けん。仏の寿(じゅ)、無量阿僧祇劫(むりょうあそうぎこう)ならん。
爾の時に摩訶波闍波提比丘尼及び耶輸陀羅比丘尼並に其の眷属(けんぞく)、皆、大に歓喜し未曽有(みぞうう)なることを得、即ち仏前に於て偈を説いて言さく、世尊導師、天人を安穏ならしめたもう。我等、記を聞いて心安く具足しぬ。
諸の比丘尼、是の偈を説き已(おわ)って仏に白して言さく、世尊、我等、亦(また)能(よ)く佗方(たほう)の国土に於て広く此の経を宣べん。