重ねて偈を説いて言さく
世雄は等倫(とうりん)無し。百福(ひゃくふく)をもって自ら荘厳(しょうごん)し無上の智慧を得たまえり。願わくは世間の為に説いて、我等及び諸の衆生の類を度脱し、為に分別し顕示して是の智慧を得せしめたまえ。若し我等、仏を得ば衆生、亦復(またまた)然(しか)ならん。世尊は衆生の深心の所念(しょねん)を知り、亦、所行の道を知り、又、智慧力を知しめせり。欲楽(よくぎょう)及び修福(しゅふく)、宿命所行(しゅくみょうしょぎょう)の業(ごう)、世尊、悉く知しめし已れり。当に無上輪を転じたもうべし。
仏、諸の比丘に告げたまわく、
大通智勝仏、阿耨多羅三藐三菩提を得たまいし時、十方(じゅっぽう)各(おのおの)五百万億の諸仏世界、六種(ろくしゅ)に震動(しんどう)し、其の国の中間(ちゅうげん)、幽冥(ゆうみょう)の処(ところ)、日月(にちがつ)の威光(いこう)も照すこと能(あた)わざる所、而も皆大(みなおおい)に明(あきら)かなり。
其の中の衆生、各(おのおの)相見(あいみ)ることを得て、咸く是の言(ことば)を作さく、此の中に云何(いかん)ぞ忽(たちま)ちに衆生を生ぜる。
又、其の国界(こっかい)の諸天の宮殿(くうでん)乃至(ないし)梵宮(ぼんぐう)まで六種に震動し、大光(だいこう)普(あまね)く照して世界に徧満(へんまん)し、諸天の光に勝(まさ)れり。
爾の時に東方五百万億の諸の国土の中の梵天の宮殿、光明照曜(こうみょうしょうよう)して常の明(ひかり)に倍(まさ)れり。諸の梵天王(ぼんてんのう)各(おのおの)是の念を作さく、今者(いま)宮殿の光明、昔より未(いま)だ有らざる所なり。何の因縁を以て此の相を現ずる。
是の時に諸の梵天王即ち各(おのおの)相詣(あいまい)って共に此の事を議す。而も彼の衆の中に一りの大梵天王あり、救一切(ぐいっさい)と名く。諸の梵衆(ぼんしゅう)の為に偈を説いて言わく
我等が諸の宮殿、光明、昔より未だ有らず。此れは是れ何の因縁ぞ。宜しく各共(おのおのとも)に之を求むべし。大徳(だいとく)の天の生ぜるとやせん。仏の世間に出でたまえるとやせん。而も此の大光明、徧(あまね)く十方を照す。