如来寿量品第十六

爾の時に世尊、諸の菩薩の三たび請(しょう)じて止(や)まざることを知(しろ)しめして、之に告げて言(のたま)わく、

汝等、諦(あきら)かに聴(き)け。如来の秘密(ひみつ)・神通(じんづう)の力(ちから)を。一切世間の天(てん)・人(にん)及び阿修羅(あしゅら)は、皆(みな)今(いま)の釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)、釈氏(しゃくし)の宮(みや)を出(い)でて伽耶城(がやじょう)を去(さ)ること遠(とお)からず、道場(どうじょう)に坐(ざ)して阿耨多羅三藐三菩提(あのくたらさんみゃくさんぼだい)を得(え)たりと謂(おも)えり。

然(しか)るに善男子、我(われ)実(じつ)に成仏(じょうぶつ)してより已来(このかた)無量無辺百千万億那由佗劫(むりょうむへんひゃくせんまんのくなゆたこう)なり。

譬(たと)えば五百千万億那由佗阿僧祇(ごひゃくせんまんのくなゆたあそうぎ)の三千大千世界(さんぜんだいせんせかい)を、仮使(たとえ)人(ひと)あって抹(まっ)して微塵(みじん)と為(な)して、東方五百千万億那由佗阿僧祇(とうぼうごひゃくせんまんのくなゆたあそうぎ)の国(くに)を過(す)ぎて乃(すなわ)ち一塵(いちじん)を下(くだ)し、是の如く東(ひんがし)に行(ゆ)いて是の微塵を尽(つ)くさんが如き。

諸の善男子、意(こころ)に於(お)て云何(いかん)。是の諸の世界(せかい)は思惟(しゆい)し校計(きょうけい)して其(そ)の数(かず)を知(し)ることを得(う)べしや不(いな)や。