仏の言わく、我も亦是の如し。成仏してより已来、無量無辺百千万億那由佗阿僧祇劫なり。衆生の為の故に方便力(ほうべんりき)を以て当に滅度すべしと言う。亦能く法の如く我が虚妄の過(とが)を説く者有ることなけん。
爾の時に世尊、重(かさ)ねて此の義(ぎ)を宣(の)べんと欲して、偈(げ)を説いて言わく、
我、仏を得てより来、経(へ)たる所の諸の劫数(こっしゅ)無量百千万億載阿僧祇(むりょうひゃくせんまんおくさいあそうぎ)なり。常に法を説いて無数億(むしゅおく)の衆生を教化して仏道に入らしむ。爾(しか)しより来、無量劫なり。
衆生を度せんが為の故に、方便して涅槃を現ず。而も実には滅度せず。常に此に住して法を説く。
我、常に此に住すれども、諸の神通力を以て顛倒(てんどう)の衆生をして近(ちか)しと雖も而も見ざらしむ。
衆(しゅう)、我が滅度を見て、広く舎利(しゃり)を供養し、咸く皆恋慕(れんぼ)を懐いて、渇仰(かつごう)の心を生ず。衆生、既(すで)に信伏(しんぷく)し、質直(しちじき)にして意(こころ)柔軟(にゅうなん)に、一心に仏を見たてまつらんと欲して、自ら身命(しんみょう)を惜(おし)まず。