その本尊の為体(ていたらく)、本師の娑婆の上に、宝塔空(くう)に居(こ)し、塔中(たつちゆう)の妙法蓮華経の左右に、釈迦牟尼仏・多宝仏。釈尊の脇士(きようじ)は上行等の四菩薩なり。文殊・弥勒等の四菩薩は、眷属として末座に居し、迹化(しやつけ)・他方の大小の諸菩薩は、万民の大地に処して雲閣(うんかく)・月卿(げつけい)を見るがごとし。十方の諸仏は、大地の上に処したもう。迹仏(しやくぶつ)・迹土(しやくど)を表するが故なり。
かくのごとき本尊は、在世五十余年にこれなし。八年の間、ただ八品に限る。正像二千年の間は、小乗の釈尊は迦葉・阿難を脇士となし、権(ごん)大乗並に涅槃、法華経の迹門等の釈尊は、文殊・普賢等を以て脇士となす。これらの仏をば正像に造り画(えが)けども、いまだ寿量の仏あらず、末法に来入(らいにゆう)して、始めてこの仏像出現せしむべきか。