安楽行品第十四

寡女(かにょ)・処女(しょにょ)及び諸の不男(ふなん)に皆親近して、以て親厚を為すことなかれ。亦、屠児(とに)・魁膾(けえ)・畋猟・漁捕、利(り)の為に殺害(せつがい)するに親近することなかれ。肉(にく)を販(う)って自活(じかつ)し、女色(にょしき)を衒売(けんまい)する。是の如きの人に皆親近することなかれ。凶険の相撲、種々の嬉戯(きけ)、諸の淫女等(いんにょとう)に尽(ことごと)く親近することなかれ。

独、屏処(びょうしょ)にして、女(にょ)の為に法を説くことなかれ。若し法を説かん時には戯笑すること得(う)ることなかれ。

里(さと)に入って乞食(こつじき)せんには一(ひと)りの比丘を将(ひき)いよ。若し比丘なくんば一心に仏を念ぜよ。是れ則ち名けて行処・近処(ごんしょ)とす。此の二処(にしょ)を以て能く安楽(あんらく)に説け。

又復、上中下(じょうちゅうげ)の法・有為(うい)・無為(むい)・実(じつ)・不実(ふじつ)の法を行ぜざれ。亦、是れ男(なん)、是れ女と分別せざれ。諸法を得ず。知(し)らず見(み)ず。是れ則ち名けて菩薩の行処とす。一切の諸法は空にして所有無し。常住(じょうじゅう)有ることなく、亦、起滅(きめつ)無し。是れを智者(ちしゃ)の所親近処(しょしんごんしょ)と名く。

顛倒(てんどう)して諸法は有(う)なり無なり。是れ実なり非実(ひじつ)なり。是れ生なり非生(ひしょう)なりと分別す。