安楽行品第十四

爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく

菩薩、常に楽って安穏に法を説け。清浄(しょうじょう)の地(じ)に於て牀座(じょうざ)を施(ほどこ)し、油(あぶら)を以て身(み)に塗(ぬ)り、塵穢(じんね)を澡浴(そうよく)し新浄(しんじょう)の衣(ころも)を著(き)内外(ないげ)倶(とも)に浄(きよ)くして、法座(ほうざ)に安処(あんじょ)して問(とい)に隨って為に説け。

若し比丘及び比丘尼、諸の優婆塞及び優婆夷、国王・王子・群臣(ぐんじん)・士民(じみん)あらば、微妙(みみょう)の義を以て和顔(わげん)にして為に説け。若し難問(なんもん)することあらば、義に隨って答えよ。因縁(いんねん)・譬喩(ひゆ)をもって敷演(ふえん)し分別せよ。

是の方便(ほうべん)を以て皆(みな)発心(ほっしん)せしめ、漸々(ぜんぜん)に増益(ぞうやく)して仏道に入らしめよ。嬾惰(らんだ)の意(こころ)及び懈怠(けだい)の想(おもい)を除(のぞ)き、諸の憂悩(うのう)を離(はな)れて慈心(じしん)をもって法を説け。昼夜(ちゅうや)に常に無上道(むじょうどう)の教(おしえ)を説け。諸の因縁、無量の譬喩を以て衆生に開示(かいじ)して咸(ことごと)く歓喜(かんぎ)せしめよ。