序品第一

仏の滅度の後、妙光菩薩、妙法蓮華経を持(たも)ち八十小劫を満てて人の為に演説す。日月燈明仏の八子、皆、妙光を師とす。妙光、教化して、其れをして阿耨多羅三藐三菩提に堅固(けんご)ならしむ。是の諸の王子、無量百千万億の仏を供養し已って、皆、仏道を成ず。其の最後に成仏したもう者、名を然灯(ねんとう)という。

八百の弟子の中に一人有り。号を求名(ぐみょう)という。利養(りよう)に貪著(とんじゃく)せり。復、衆経(しゅうきょう)を読誦すと雖(いえど)も而(しか)も通利(つうり)せず。忘失する所多し。故に求名と号(なづ)く。

是の人、亦、諸の善根を種えたる因縁を以ての故に、無量百千万億の諸仏に値いたてまつることを得て、供養・恭敬(くぎょう)・尊重・讃歎(さんだん)せり。

弥勒、当に知るべし。その時の妙光菩薩は豈(あ)に異人(ことひと)ならん乎(や)、我が身、是れなり。求名菩薩は汝が身、是れなり。今、此の瑞を見るに本と異なること無し。是の故に惟忖するに、今日の如来も当に大乗経の妙法蓮華・教菩薩法・仏所護念と名くるを説きたもうべし。