従地涌出品第十五

是の諸の菩薩摩訶薩、地より涌出して、諸の菩薩の種々の讃法を以て仏を讃(ほ)めたてまつる。

是の如くする時の間(あいだ)に五十小劫(ごじゅっしょうこう)を経(へ)たり。是の時に釈迦牟尼仏、黙然(もくねん)として坐(ざ)したまえり。及(およ)び諸の四衆(ししゅ)も亦皆黙然たること五十小劫、仏の神力(じんりき)の故(ゆえ)に諸の大衆をして半日(はんにち)の如しと謂(おも)わしむ。

爾の時に四衆、亦仏の神力を以ての故に、諸の菩薩の無量百千万億の国土の虚空に徧満(へんまん)せるを見(み)る。

是の菩薩衆の中に四導師(しどうし)あり。一(いち)を上行(じょうぎょう)と名(なづ)け、二(に)を無辺行(むへんぎょう)と名け、三(さん)を浄行(じょうぎょう)と名け、四(よん)を安立行(あんりゅうぎょう)と名く。是の四菩薩、其の衆中(しゅうちゅう)に於て最(もっと)も為(こ)れ上首唱導(じょうしゅしょうどう)の師(し)なり。

大衆の前(まえ)に在って各(おのおの)共(とも)に合掌し、釈迦牟尼仏を観(み)たてまつりて問訊(もんじん)して言(もう)さく、


世尊、少病少悩(しょうびょうしょうのう)にして安楽(あんらく)に行じたもうや不(いな)や。度(ど)すべき所の者、教(おしえ)を受(う)くること易(やす)しや不や。世尊をして疲労(ひろう)を生(しょう)さしめざる耶(や)。


爾の時に四大菩薩、而(しか)も偈(げ)を説いて言さく、

世尊は安楽にして、少病少悩にいますや。衆生(しゅじょう)を教化(きょうけ)したもうに疲倦(ひけん)無(な)きことを得(え)たまえりや。又(また)諸の衆生、化(け)を受くること易しや不や。世尊をして疲労を生さしめざる耶。