爾の時に世尊、重ねて此の義を宣べんと欲して、偈を説いて言わく
阿逸(あいつ)、汝、当に知るべし。是の諸の大菩薩は、無数劫(むしゅこう)より来(このかた)、仏の智慧を修習せり。悉(ことごと)く是れ我が所化として、大道心(だいどうしん)を発さしめたり。此(こ)れ等(ら)は、是れ、我が子なり。是の世界に依止せり。常に頭陀(ずだ)の事を行じて、静かなる処を志楽(しぎょう)し、大衆の憒閙(かいにょう)を捨てて、所説(しょせつ)多きことを楽わず。
是の如き諸子等(しょしら)は、我が道法を学習(がくしゅう)して昼夜(ちゅうや)に常に精進す。仏道を求むるをもっての故(ゆえ)に、娑婆世界の下方(げほう)の空中(くうちゅう)に在って住す。志念力(しねんりき)堅固(けんご)にして、常に智慧を勤求(ごんぐ)し、種々の妙法を説いて、其の心、畏(おそ)るる所無し。
我、伽耶城(がやじょう)、菩提樹下(ぼだいじゅげ)に於て坐して、最正覚(さいしょうがく)を成ずることを得て無上の法輪を転じ、爾(しこう)して乃ち之を教化して、初めて道心を発さしむ。今、皆、不退(ふたい)に住せり。悉く当に成仏を得べし。我、今、実語(じつご)を説く。汝等、一心に信ぜよ。我、久遠(くおん)より来(このかた)、是れ等の衆を教化せり。