たとひ五天のつわものをあつめて、鉄囲山(てつちせん)を城とせりともかなうべからず。必ず日本国の一切衆生兵難(へいなん)に値(あ)ふべし。されば日蓮が法華経の行者にてあるなきかは、これにて見るべし。
教主釈尊記(しる)して云く、「末代悪世(あくせ)に法華経を弘通(ぐずう)するものを悪口罵詈(あつくめり)等せん人は、我(われ)を一劫(いつこう)が間あだせん者の罪にも、百千万億倍すぎたるべし」ととかせ給へり。
しかるを今の日本国の国主・万民等雅(が)(我)意(い)にまかせて、父母宿世(すくせ)の敵(かたき)よりもいたくにくみ、謀反(むほん)・殺害(せつがい)の者よりもつよくせめぬるは、現身(げんしん)にも大地われて入(い)り、天雷(てんらい)も身をさかざるは不審なり。日蓮が法華経の行者にてあらざるか。もししからばをゝきになげかし。
今生(こんじよう)には万人にせめられて片時もやすからず、後生(ごしよう)には悪道に堕(お)ちん事あさましとも申すばかりなし。