漢土・日本に智慧すぐれ才能いみじき聖人(しようにん)は度々ありしかども、いまだ日蓮ほど法華経のかたうど(方人)して、国土に強敵(ごうてき)多くまうけたる者なきなり。まづ眼前の事をもつて日蓮は閻浮(えんぶ)第一の者としるべし。
仏法日本にわたて七百余年、一切経は五千七千、宗は八宗十宗、智人(ちにん)は稲麻(とうま)のごとし、弘通(ぐずう)は竹葦(ちくい)ににたり。
しかれども仏には阿弥陀仏、諸仏の名号には弥陀の名号ほどひろまりてをはするは候はず。この名号を弘通する人は、慧心(えしん)は往生要集をつくる、日本国三分が一は一同の弥陀念仏者。
永観(ようかん)は十因と往生講(おうじようこう)の式をつくる。扶桑(ふそう)三分が二分は一同の念仏者。
法然せんちやくをつくる、本朝一同の念仏者。しかれば今の弥陀の名号を唱ふる人人は一人(いちにん)が弟子にはあらず。