問うて云く、智人なくばいかでかこれを対治(たいじ)すべき。例せば病(やまい)の所起(しよき)を知らぬ人の、病人を治(じ)すれば人必ず死す。
この災(わざわい)の根源(こんげん)を知らぬ人々がいのりをなさば、国まさに亡びん事疑ひなきか。あらあさましや、あらあさましや。
答へて云く、蛇(じや)は七日が内の大雨をしり、烏(からす)は年中の吉凶をしる。これすなわち大竜の所従(しよじゆう)、また久学(くがく)のゆへか。
日蓮は凡夫(ぼんぶ)なり。この事をしるべからずといえども、汝等(なんじら)にほぼこれをさとさん。
彼(か)の周の平王(へいおう)の時、禿(かむろ)にして裸なる者出現せしを、辛有(しんゆう)といゐし者うらなつて云く、「百年が内に世ほろびん」。
同じき幽王(ゆうおう)の時、山川くずれ、大地ふるひき。白陽(はくよう)と云ふ者勘(かんが)へていはく、「十二年の内に大王事(こと)に値(あわ)せ給ふべし」。