撰時抄

今の大地震・大長星等は、国主日蓮をにくみて、亡国の法たる禅宗と念仏者と真言師をかたうどせらるれば、天いからせ給ひていださせ給ふところの災難なり。

問うて云く、なにをもつてこれを信ぜん。

答へて云く、最勝王経に云く、〔「悪人を愛敬(あいきよう)し、善人を治罰(ちばつ)するによるが故に、星宿(せいしゆく)及び風雨皆時(とき)をもつて行われず」〕等と云云。この経文のごときんば、この国に悪人のあるを、王臣これを帰依(きえ)するという事疑いなし。またこの国に智人(ちにん)あり。国主これをにくみて、あだすという事もまた疑いなし。

また云く、〔「三十三天の衆(しゆ)、咸忿怒(みなふんぬ)の心を生じ、変怪(へんげ)の流星堕(りゆうせいお)ち、二の日倶時(ひくじ)に出(い)で、他方の怨賊来(おんぞくきた)りて、国人喪乱(こくじんそうらん)に遭わん」〕等と云云。すでにこの国に天変(てんぺん)あり、地夭(ちよう)あり。他国よりこれをせむ。三十三天の御いかりあることまた疑いなきか。

仁王経(にんのうきよう)に云く、〔「諸(もろもろ)の悪比丘、多く名利(みようり)を求め、国王・太子・王子の前において、自(みずか)ら破仏法(はぶつぽう)の因縁(いんねん)・破国(はこく)の因縁を説く。その王別(わきまえ)ずしてこの語(ことば)を信聴(しんちよう)す」〕等と云云。また云く、〔「日月度を失ひ、時節反逆(ほんぎやく)し、或(あるい)は赤日出(しやくじつい)で、或は黒日出で、二三四五の日出で、或は日触して光なく、或は日輪一重二重四五重輪現ず」〕等と云云。