諸仏、世に出でたもうには、唯、此の一事のみ実(まこと)なり。余の二は則ち真に非ず。終(つい)に小乗を以て衆生を済度(さいど)したまわず。
仏は自ら大乗に住したまえり。其の所得の法の如き定慧(じょうえ)の力、荘厳(しょうごん)せり。此れを以て衆生を度したもう。
自ら無上道・大乗平等の法を証して、若し小乗を以て化すること、乃至(ないし)一人に於てもせば、我、則ち慳貪(けんどん)に墮(だ)せん。此の事は為(さだ)めて不可なり。
若し人、仏に信帰(しんき)すれば、如来、欺誑(ごおう)したまわず。亦、貪嫉(とんしつ)の意(こころ)無し。諸法の中の悪を断じたまえり。
故(かるがゆえ)に仏、十方に於て、独(ひとり)畏(おそ)るる所無し。我、相を以て身を厳(かざ)り、光明、世間を照す。無量の衆に尊(たっと)まれて為に実相の印を説く。
舎利弗当に知るべし。我、本(むかし)、誓願を立てて一切の衆をして我が如く等しくして異ることなからしめんと欲しき。我が昔の所願の如き今者(いま)已(すで)に満足しぬ。一切衆生を化(け)して皆仏道に入らしむ。