爾の時に世尊、舎利弗に告げたまわく、
汝、已に慇懃に三たび請(しょう)じつ。豈(あ)に説かざることを得んや。汝、今、諦(あきら)かに聴(き)き、善(よ)く之(これ)を思念(しねん)せよ。吾、当に汝が為に分別し解説すべし。
此の語(みこと)を説きたもう時、会中に比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷、五千人等あり。即ち座より起(た)って仏を礼(らい)して退(しりぞ)きぬ。所以は何ん。此の輩(やから)は罪根(ざいこん)深重(じんじゅう)に、及び増上慢にして、未だ得ざるを得たりと謂(おも)い、未だ証せざるを証せりと謂えり。此の如き失(とが)あり、是を以て住せず。世尊、黙念(もくねん)として制止したまわず。