法師品第十

薬王、若し菩薩あって是の法華経を聞いて驚疑(きょうぎ)し怖畏(ふい)せん。当に知るべし。是れを新発意(しんぼっち)の菩薩と為(な)づく。

若し声聞の人、是の経を聞いて驚疑し怖畏せん。当に知るべし、是れを増上慢(ぞうじょうまん)の者となづく。

薬王、若し善男子・善女人あって、如来の滅後に四衆の為に是の法華経を説かんと欲せば、云何(いかん)してか説くべき。

是の善男子・善女人は、如来の室(しつ)に入(い)り、如来の衣(ころも)を著(き)、如来の座に坐して、爾(しこう)して乃(いま)し四衆の為に広く斯の経を説くべし。

如来の室とは一切衆生の中の大慈悲心、是れなり。如来の衣とは柔和忍辱(にゅうわにんにく)の心、是れなり。如来の座とは一切法空(いっさいほうくう)、是れなり。是の中に安住(あんじゅう)して、然(しこう)して後に不懈怠(ふけだい)の心を以て、諸の菩薩及び四衆の為に広く是の法華経を説くべし。