迦葉、譬えば三千大千世界(さんぜんだいせんせかい)の山川(せんぜん)・渓谷(けいこく)・土地(どじ)に生(お)いたる所の卉木(きもく)・叢林(そうりん)及び諸の薬草、種類若干(しゅるいじゃっかん)にして名色(みょうしき)各(おのおの)異(ことな)り。
密雲弥布(みつうんみふ)して徧(あまね)く三千大千世界に覆(おお)い、一時(いちじ)に等しく澍(そそ)ぐ。其の沢(たく)普(あまね)く卉木・叢林及び諸の薬草の小根(しょうこん)・小茎(しょうきょう)・小枝(しょうし)・小葉(しょうよう)、中根(ちゅうこん)・中茎(ちゅうきょう)・中枝(ちゅうし)・中葉(ちゅうよう)、大根(だいこん)・大茎(だいきょう)・大枝(だいし)・大葉(だいよう)に洽(うるお)う。
諸樹(しょじゅ)の大・小、上中下に隨って各(おのおの)受くる所あり。一雲の雨(ふ)らす所、其の種性(しゅしょう)に称(かの)うて生長(しょうちょう)することを得て、華果(けか)敷(ひら)き実(このみ)なる。一地(いちじ)の生(しょう)ぜる所・一雨(いちう)の潤(うるお)す所なりと雖(いえど)も、而(しか)も諸の草木(そうもく)各(おのおの)差別(しゃべつ)あるが如し。