見宝塔品第十一

三十二天(さんじゅうにてん)は天の曼陀羅華(まんだらけ)を雨(ふら)して宝塔(ほうとう)に供養し、余(よ)の諸天・龍・夜叉(やしゃ)・乾闥婆(けんだつば)・阿修羅(あしゅら)・迦楼羅(かるら)・緊那羅(きんなら)・摩睺羅伽(まごらが)・人(にん)・非人等(ひにんとう)の千万億衆は、一切の華(け)・香(こう)・瓔珞(ようらく)・旛葢・伎楽(ぎがく)を以て宝塔に供養して、恭敬(くぎょう)・尊重(そんじゅう)・讃歎(さんだん)したてまつる。

爾の時に宝塔の中より大音声(だいおんじょう)を出して、歎(ほ)めて言(のたま)わく、

善哉善哉(よいかなよいかな)、釈迦牟尼世尊(しゃかむにせそん)、能(よ)く平等大慧教菩薩法仏所護念(びょうどうだいえきょうぼうさっぽうぶっしょごねん)の妙法華経(みょうほうけきょう)を以て大衆(だいしゅう)の為(ため)に説きたもう。

是(かく)の如(ごと)し、是の如し。釈迦牟尼世尊、所説(しょせつ)の如きは皆(みな)是(こ)れ真実なり。

爾の時に四衆、大宝塔の空中に住在せるを見、又、塔の中より出したもう所の音声を聞いて、皆、法喜(ほうき)を得(え)、未曽有(みぞうう)なりと怪(あやし)み、座より而(しか)も起(た)って恭敬合掌(くぎょうがっしょう)し、却(さ)って一面(いちめん)に住(じゅう)す。