唯、此の会の衆を留(とど)めて、諸の天・人を移(うつ)して佗土(たど)に置(お)く。
是の時に諸仏、各(おのおの)一(ひと)りの大菩薩を将(ひき)いて以て侍者(じしゃ)とし、娑婆世界に至って、各、宝樹の下(もと)に到りたもう。
一々の宝樹、高さ五百由旬、枝(し)・葉(よう)・華・果(か)、次第に荘厳せり。諸の宝樹下(ほうじゅげ)に皆(みな)師子(しし)の座あり、高さ五由旬。亦、大宝を以て之を校飾(きょうじき)せり。
爾の時に諸仏、各、此の座に於て結跏趺坐(けっかふざ)したもう。是の如く展転(てんでん)して三千大千世界に徧満(へんまん)せり。
而も釈迦牟尼仏の一方所分(いっぽうしょふん)の身に於(おい)て、猶故(なお)未(いま)だ尽(つ)きず。
時に釈迦牟尼仏、所分身(しょふんじん)の諸仏を容受(ようじゅ)せんと欲するが故に、八方(はっぽう)に各更(おのおのさら)に二百万億那由佗の国を変じて、皆、清浄ならしめたもう。地獄・餓鬼・畜生及び阿修羅有ること無し。又、諸の天・人を移して佗土に置く。所化(しょけ)の国、亦(また)瑠璃を以て地と為し宝樹荘厳せり。樹(じゅ)の高さ五百由旬、枝葉華果(しようけか)、次第に厳飾せり。樹下に皆(みな)宝の師子座(ししざ)あり、高さ五由旬。種々の諸宝(しょほう)以て荘校(しょうきょう)とす。
亦、大海・江河及び目真隣陀山(もくしんりんだせん)・摩詞目真隣陀山(まかもくしんりんだせん)・鉄囲山(てっちせん)・大鉄囲山(だいてっちせん)・須弥山等(しゅみせんとう)の諸山(しょせん)の王なく、通(つう)じて一仏国土(いちぶつこくど)となって宝地平正(ほうじびょうじょう)なり。宝をもって交露(きょうろ)せる幔(まん)、徧く其の上に覆い、諸の旛葢を懸け、大宝の香を焼き、諸天の宝華、徧く其の地に布けり。