見宝塔品第十一

爾の時に釈迦牟尼仏、所分身の諸仏、悉く已(すで)に来集して、各々(かっかく)に師子の座に坐したもうを見(みそな)わし、皆、諸仏の同じく宝塔を開かんと与欲したもうを聞こしめして、即ち座より起って虚空(こくう)の中に住したもう。

一切の四衆、起立合掌(きりゅうがっしょう)し、一心に仏を観たてまつる。

是に釈迦牟尼仏、右の指を以て七宝塔の戸(とぼそ)を開きたもう。大音声を出すこと、関鑰(けんやく)を却(さ)けて大城の門を開くが如し。

即時に一切の衆会、皆、多宝如来の宝塔の中に於て師子座に坐したまい、全身散(ぜんしんさん)ぜざること禅定(ぜんじょう)に入るが如くなるを見、又、其の善哉善哉釈迦牟尼仏、快(よ)く是の法華経を説きたもう。我、是の経を聴かんが為の故に而も此に来至せりと言うを聞く。

爾の時に四衆等、過去の無量千万億刧に滅度したまいし仏の是の如き言を説きたもうを見て未曽有なりと歎(たん)じ、天の宝華聚(ほうけじゅ)を以て多宝仏及び釈迦牟尼仏の上に散ず。