舎利弗、若し衆生有り、内に智性(ちしょう)有って、仏世尊に従いたてまつりて法を聞いて信受し、慇懃に精進して速かに三界を出でんと欲して、自ら涅槃を求むる、是れを声聞乗と名く。彼の諸子の羊車を求むるを為て火宅を出ずるが如し。
若し衆生あり、仏世尊に従いたてまつりて法を聞いて信受し、慇懃に精進して自然慧(じねんえ)を求め、独善寂(どくぜんじゃく)を楽(ねが)い、深く諸法の因縁を知る、是れを辟支仏乗(ひゃくしぶつじょう)と名く。彼の諸子の鹿車を求むるを為(もっ)て火宅を出ずるが如し。
若し衆生有り、仏世尊に従いたてまつりて法を聞いて信受し、勤修精進して一切智・仏智・自然智・無師智・如来の知見・力・無所畏を求め、無量の衆生を愍念安楽(みんねんあんらく)し、天・人を利益し一切を度脱する、是れを大乗と名く。菩薩、此の乗を求むるが故に、名けて摩訶薩(まかさつ)とす。彼の諸子の牛車を求むるを為て火宅を出ずるが如し。